後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の導入に伴い、全国582市区町村が75歳以上への人間ドック費用の助成を廃止していたことが、厚生労働省の調査で分かった。人間ドックの助成は市区町村の独自事業。3月までは723市区町村が国民健康保険(国保)を通じて助成事業を行っていたが、4月以降も保健センターなどの事業として助成を継続しているのは約2割の141市区町村にとどまり、8割の自治体で廃止された形だ。
人間ドックの料金は日帰りで3~5万円が一般的で、これらの市区町村の多くは1~2万円程度を助成してきた。ところが、後期高齢者医療制度の創設で、75歳以上は国保を脱退することになったため、国保からの助成を受けられなくなった。
新制度を運営する広域連合は「保険料の上昇を招く」などの理由から人間ドック助成を行っておらず、廃止した市区町村では、新たに助成事業が行われない限り、75歳以上は今後、全額自己負担となる。
厚労省は「助成を継続するか、しないかは自治体の判断」としているが、高齢者団体などからは「なぜ75歳以上で助成が受けられなくなるのか合理的な理由が分からない」「病気の早期発見が遅れ、かえって医療費が高騰する」などの批判が出ている。
一方、新制度の導入に伴う保険料負担の増減について、一般的な傾向として保険料が下がるのは市区町村数でみると全体の約8割に上るが、加入者数で換算すると半分程度にとどまっていることも厚労省調査で分かった。政府はこれまで「7、8割の人は値下がりする」(町村信孝官房長官)と説明してきたが、市区町村数と加入者数を取り違えていた格好だ。
保険料算定は、国保が所有資産に応じた「資産割」など2~4項目を積み上げて計算するのに対し、新制度は2項目のみと異なる。
国保の約8割が4項目方式を採用していることから、政府は全体の8割近くの人が保険料が下がると計算していたが、4項目方式を採用している多くは小規模自治体のため、加入者数で計算し直すと、保険料の下がる人は新制度加入者の半数程度となる計算だ。
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