京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞(人工多能性幹細胞)の特許などを管理・活用する会社を、京大と大和証券グループ本社、三井住友銀行など金融3社が共同で設立することになった。大学が特定分野の研究でこうした会社をつくるのは異例。都内で行われた記者会見には3社のトップが顔をそろえるなど、企業側もこれまでにない力の入れようだ。
新会社は企業から特許利用の申し出があった場合、京大に代わってライセンス契約を結ぶ。今後、他企業からも出資を募る考えで、京大の尾池和夫総長は「オールジャパン体制で取り組みたい」としている。
再生医療や新薬開発への応用が期待されるiPS細胞には産業界も熱い視線を送っている。4月には産学連携に向けた初の懇話会が京大で開かれ、製薬会社の関係者ら230人が出席。具体的な提案や研究課題についての質問が相次いだ。
もっとも京大側に特許権が認められるかどうかは現時点では不透明。ドイツ系医薬品メーカーのバイエル薬品などもiPS細胞作製に成功しており、今後、特許取得競争が激しくなるとみられるからだ。それでも金融3社が京大と手を結んだ背景には「産学の連携体制を整えないと日本の技術優位性は保てない」(奥正之・三井住友銀行頭取)との危機感がある。新会社の行方を見守りたい
0 件のコメント:
コメントを投稿