中国の胡錦濤国家主席が、東京・上野動物園にジャイアントパンダ雌雄2頭の貸与を表明したことについて、東京都に119件の意見が寄せられ、半数以上が受け入れに反対する内容であることが9日、分かった。上野動物園にも約70件の抗議が寄せられているという。関係者によると、パンダは早ければ今秋にも“来日”の運びとなるが、1億円と言われる高額な中国へのレンタル料、チベット問題や毒ギョーザ事件などでの不誠実な中国側の対応で、パンダにも逆風が吹いている格好だ。日本にパンダがお目見えして36年目。今度ばかりは、列島を挙げての大歓迎とはいかないようだ。
都によると、119件の意見は「リンリン」が死んだ翌日の1日から7日までに「都民の声」課に寄せられたもの。
「平和の象徴」「子供たちに人気」と賛成意見はわずか7件(6%)で、「1億円のレンタル料は高い。税金の使い道としていかがなものか」「パンダに金をかけるなら福祉に回せ」など手厳しい反対意見が63件(53%)に上った。同課は「予想以上に受け入れ反対の意見が多かった。高額とみられる貸与料を問題視する意見が目立っているようだ」としている。
受け入れ先の上野動物園にも抗議が相次いでいる。今月に入り1日10件前後の電話やメールが来ており、職員は対応に忙殺される日々だ。教育普及課の井田素靖教育普及係長は「パンダ嫌いというより、中国を批判する内容が多い」。30分間も延々と電話で“説教”された職員もいた。
6日午後5時ごろには、女性職員がパンダ舎近くの立て看板のそばで不審な動きをしている男性を発見。男性が去った後、看板を確認したところ、「チベット人を虐殺する中国からのパンダ貸与に反対しましょう」と印字されたシールが張りつけられていた。その後、ホッキョクグマ舎の手すりでも同じものを発見。井田係長は「これ以上の悪質な行為が続けば対策を考えないと…」と顔をしかめる。
愛くるしさで、これまでは日本人に人気のあったパンダだが、今回ばかりは政治に翻弄(ほんろう)されているようだ。9日、家族連れで来園した横浜市の会社員、星野弘貴さん(34)は「あんなかわいい動物はいないが、チベット問題とかギョーザ事件で、中国がしっかり対応しないから、歓迎されないんだと思う」。
一方、福田康夫首相は同日、官邸で中国の中国中央テレビのインタビューを受け、パンダの有償貸与に「メディアの一部でいろんなことを言う人がいるが、これはごくごく少数派。ほとんどはかわいいパンダを見たいと思っており、手放しで喜んでいる」と強調した。
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