月曜日

Parachute-style anchor

「10メートルの風や2メートルの波で漁船が転覆することは考えられない」。今回の転覆事故について、海事関係者は一様に首をひねる。 国土交通省などによると、一般に漁船が転覆しやすいのは、<1>横方向や後ろ方向から高波を受けた場合<2>漁獲物を甲板に積みすぎて重量バランスが崩れた場合──が考えられる。 第58寿和丸は当時、「パラシュート式アンカー」を使って停泊中だったという。船を海上で安定させるため、重りの役目を果たすパラシュートを海中で広げる仕組みで、船舶安全法で200トン未満の漁船に設置が義務づけられている。 海事関係者によると、このアンカーを使えば、漁船の船首が海中のパラシュートに引っ張られ、潮流や波を常に船首側で受けることができ、荒天をやり過ごす時に有効という。 ただ、風向きが急に変わりやすい低気圧や前線の通過時には、同時に複数方向からの波が重なって押し寄せる「三角波」が発生することがあり、この場合はアンカーは役に立たないという。 このため、「漁船は、アンカーでは対応しきれない想定外の波に襲われた可能性がある」(海事関係者)とする見方もある。 また、海中のアンカーを別の船が引っ掛け、ロープが絡んで転覆する可能性もあるが、海上保安庁関係者は「交通量が多い海域ならまだしも、現場のような太平洋の広い海域では考えにくい」と話す。

0 件のコメント: